『黄泉のツガイ』を読んでいると、だんだん気になってくるのが「西ノ村」です。
東村と対立する勢力なのは分かる。
御陵やイワン、椥辻、醍醐といった強敵もいる。
でも、読み進めるほど、
「そもそも西ノ村は何のために動いているの?」
「御陵とイワンは同じ目的なの?」
「小野ミナセは西ノ村の中で何をしているの?」
と、単純な敵味方だけでは整理しにくくなってきます。
私自身、最初は「西ノ村=ユルたちの敵」という程度に考えていました。
ところが、西ノ村が滅んだ村ではなく、ダムの底の結界内で存続していたことが分かり、さらに「封」と「解」をめぐる計画まで見えてくると、印象が変わりました。
西ノ村は、ただユルたちを倒したい集団ではありません。
自分たちの目的を達成するために、東村や影森家を利用し、必要なら内部にまで人を送り込む集団です。
この記事では、13巻までの内容をもとに、西ノ村のキャラクター相関図と、それぞれがどんな立場で動いているのかを整理します。
※この記事は『黄泉のツガイ』13巻までのネタバレを含みます。
『黄泉のツガイ』西ノ村のキャラクター相関図
まずは、西ノ村を中心とした関係をざっくり整理します。
【西ノ村】
│
│ 長期的な計画
│ 「封」をめぐる思惑
│
┌─┴────────────┐
↓ ↓
【小野ミナセ】 【御陵】
│ │
↓ ├─ ツガイ「天と地」
【アキオ】 │
│ ├─ 与謝野イワン
↓ │ └「マガツヒ」
影森家に潜入 │
├─ 峰山アンナ
│ └「魂コロガシ」
│
├─ 椥辻
│ └「裁きの日」
│
└─ 醍醐ヒデカツ
└「サドマゾ」
ただし、この図を「西ノ村の組織図」として考えすぎないほうがいいと思います。
それぞれが同じ目的だけで動いているわけではないからです。
西ノ村とは?滅んだはずの村が残っていた
西ノ村は、かつて関ヶ原の戦いで西軍に力を貸したことで徳川の世になって焼かれ、その後ダムの底に沈んだとされていました。
ところが実際には、村は滅んでいません。
結界によって外界から隔離された状態で存続していました。
ここが、西ノ村を理解するうえでかなり重要です。
彼らにとって「村を取り戻す」という目的は、単なる野望ではありません。
自分たちが失った場所を取り戻すための、長い時間をかけた悲願でもあります。
だからこそ、そのためなら他人を巻き込むこともいとわない。
この「事情は理解できるのに、やっていることは怖い」というところが、西ノ村の面白さだと思います。
西ノ村の目的は「封」と「解」にある
西ノ村がユルとアサに執着する最大の理由が、「封」と「解」です。
「夜と昼を別つ双子」であるユルとアサが持つ力を利用し、西ノ村は自分たちの目的を達成しようとしています。
さらに物語が進むことで、西ノ村が単純に双子を捕まえたいわけではないことも分かってきます。
双子そのものではなく、その力をどう利用するのか。
ここに西ノ村の本当の怖さがあります。
だから私は、西ノ村を「ユルとアサの敵」とだけ説明するのは少し足りないと思っています。
西ノ村が欲しいのは双子そのものではなく、双子が持つ力なのです。
御陵は西ノ村の「実力」を見せる人物
西ノ村の中心人物として最も強烈なのが御陵です。
御陵は影森本家を単独で襲撃し、ゴンゾウとジンを追い詰めました。
その結果、ゴンゾウは死亡。
ジンもその場から逃れるものの、その後の消息が分からなくなっています。
そして13巻では、その御陵とヒカルが対峙します。
ヒカルは黒白と自身の想像力を駆使して戦い、命からがら御陵を追い返しました。公式の13巻紹介でも、この戦いが大きく描かれています。
ここで面白いのは、御陵が単なる「強敵」ではないことです。
御陵が影森家を襲ったことで、物語の勢力図そのものが変わりました。
ゴンゾウを失った影森家。
怒りを抱えるヒカル。
そして西ノ村への警戒を強める東村。
御陵は、戦闘だけでなく勢力図を動かした人物でもあります。
13巻でヒカルと御陵の戦いがどうなった?
13巻では、ゴンゾウを失ったヒカルが御陵と一人で対峙します。
ヒカルは黒白と、自分の想像力を組み合わせた攻撃で御陵を追い込み、最終的には御陵を退かせることに成功しました。
ここは、影森家の記事ともつながる重要なポイントです。
ゴンゾウを失ったことで、ヒカルは「守られる側」ではなく、自分で影森家を守る側に立たされました。
つまり、御陵との戦いは、
「西ノ村VS影森家」
というだけではなく、
「ゴンゾウを失ったヒカルが、影森家を背負えるのか」
という意味も持っています。
イワンは御陵とは違うタイプの西ノ村の人間
与謝野イワンも西ノ村の重要人物です。
御陵が正面から圧倒するタイプなのに対し、イワンは相手を利用し、状況そのものを動かしていく人物。
影森家内部に入り込んでいたアキオや、さまざまな人物との関係を考えると、西ノ村が単純な武力集団ではないことが分かります。
イワンのツガイは「マガツヒ」。
アサたちとの戦闘では、陰陽の空間に閉じ込められるところまで追い込まれますが、そこで終わるわけではありません。
13巻では、アサたちがイワンを陰陽の空間に閉じ込め、椥辻と醍醐の身柄も確保する展開になっています。
つまり13巻時点では、
御陵→ヒカルに追い返される
イワン→アサたちに捕らえられる
という形で、西ノ村側も大きな打撃を受けています。
椥辻と醍醐も13巻で大きく状況が変わる
椥辻と醍醐は、これまで西ノ村側の実働戦力として動いていました。
ところが13巻では、アサたちによって身柄を確保されます。
これは今後の西ノ村を考えるうえでも重要です。
なぜなら、これまで「西ノ村の情報を外から探る」のが難しかったからです。
それが、内部の人物を確保したことで、これまで見えなかった情報が明らかになる可能性があります。
西ノ村を「謎の敵」として描く段階から、「西ノ村の中身を知る段階」へ移りつつあるのかもしれません。
小野ミナセは西ノ村を考えるうえで外せない
小野ミナセは、西ノ村の目的を考えるうえで非常に重要な人物です。
特にアキオとの関係を知ると、西ノ村のやり方がよく分かります。
西ノ村は正面から攻撃するだけではありません。
長い時間をかけて人を送り込み、相手の内部に入り込む。
その象徴がアキオです。
だからミナセを見ると、西ノ村の怖さが御陵とは違った形で見えてきます。
御陵が「目の前に現れる脅威」なら、ミナセは「いつから仕掛けられていたのか分からない脅威」。
私は、この違いが西ノ村を面白くしていると思います。
アキオが影森家にいた意味
アキオは影森家に入り込んでいた人物です。
そして西ノ村との関係が明らかになったことで、「影森家はずっと西ノ村から監視されていたのでは?」と感じさせる存在になりました。
実際、9巻の公式紹介でも、影森家が裏切者のアキオとヤマノカミからイワンの情報を得ようとする展開が描かれ、その後の西ノ村の動きにつながっています。
ここを考えると、西ノ村の戦いは「御陵が影森家を襲ったところから始まった」のではありません。
もっと前から、影森家の内部に西ノ村の手が入っていた。
そう考えると、御陵の襲撃も単発の事件ではなく見えてきます。
13巻時点の西ノ村と東村・影森家の関係
現在の大きな関係は、
【西ノ村】
│
│
敵対
↓
┌───────┐
↓ ↓
【影森家】 【東村】
│ │
└────┬────┘
│
協力
│
↓
西ノ村対策
│
↓
【ユル・アサ】
「夜と昼を別つ双子」
という構図です。
もともと影森家と東村は対立していました。
ところが西ノ村という共通の敵が現れたことで、両者は手を組むことになります。
公式の11巻紹介でも、会談を経て東村と影森家が手を組み、西ノ村の情報を得るため東村を訪れる展開が明記されています。
この「昨日まで敵だった相手と手を組む」という関係は、『黄泉のツガイ』の面白さの一つだと思います。
西ノ村は「悪の集団」なのか?
ここは、私は少し違うと思っています。
西ノ村には「村を取り戻したい」という理由があります。
だから、彼らの目的だけを聞けば理解できる部分もある。
でも、そのために人を利用し、命まで犠牲にする。
ここに大きな問題があります。
つまり、目的は理解できる。
でも、手段には納得できない。
このズレが、西ノ村を単純な悪役にしないところだと思います。
そして13巻まで読んだ現在、西ノ村側も無傷ではありません。
御陵はヒカルに退けられ、イワンはアサたちに捕らえられ、椥辻と醍醐も身柄を確保されています。
西ノ村がここからどう動くのかは、かなり気になるところです。
まとめ 西ノ村は「強敵」ではなく、物語の勢力図そのものを動かしている
西ノ村を整理すると、
- 御陵は圧倒的な戦闘力で影森家を襲撃
- イワンは裏から状況を動かす
- 椥辻・醍醐は実働部隊として動く
- ミナセは長期的な計画に関わる
- アキオは影森家の内部に入り込んでいた
というように、それぞれ役割が違います。
だから西ノ村は、単なる「敵キャラの集まり」ではありません。
それぞれの人物が別の方法で同じ大きな目的に近づこうとしている集団です。
そして13巻では、その西ノ村側にも大きな変化が起きました。
御陵はヒカルに退けられ、イワンは陰陽の空間に閉じ込められ、椥辻と醍醐も身柄を確保されています。
ここから西ノ村がどう立て直すのか。
そして、捕らえられた人物から何が明らかになるのか。
13巻以降は、これまで「謎だった西ノ村」が少しずつ内側から見えてくる展開になるのかもしれません。
なお、御陵の襲撃によって大きく変わったのが影森家です。
ゴンゾウを失い、ジンも行方が分からなくなった影森家が、13巻時点でどうなっているのかは、こちらの記事で詳しく整理しています。

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