『さよならソルシエ』とは?あらすじ・実話?・ミュージカル情報

まえがき

 漫画『さよならソルシエ』、この作品は天才画家フィンセント・ファン・ゴッホではなく弟テオドルス・ファン・ゴッホに焦点を当てた物語です。
 本記事では、原作漫画のあらすじや実話?との関係、さらに舞台・ミュージカル化された『さよならソルシエ』について紹介します。

『さよならソルシエ』とは?ー著者紹介とあらすじ

 まずは著者について紹介します。『さよならソルシエ』の著者である穂積さんは、2010年『式の前日』で「月刊flowers」コミックオーディション銀の花賞受賞され、同作品にてデビューしています。『さよならソルシエ』も「このマンガがすごい!オンナ編」で第1位を受賞しています。では、簡単にあらすじを紹介します。
 19世紀末のパリ。のちの天才画家ゴッホを兄に持つ天才画家テオドルス・ファン・ゴッホの兄弟の物語を描いた作品。芸術は上流階級のものとされ、一般庶民には理解できないものとれていた時代、画廊「グーピル商会」の支店長を務めるテオドルス・ファン・ゴッホは権威と保守に満ちた芸術界を内側から壊そうと奮闘します。その一方で、兄フィンセント・ファン・ゴッホの絵を後世に残そうと奮闘し、兄の死後、その人生を再構築し、フィンセント・ファン・ゴッホを世に知らしめる・・・という物語。       

『さよならソルシエ』主人公は画商の弟

 『さよならソルシエ』を読みまず不思議に思ったことは、天才画家フィンセント・ファン・ゴッホが中心に描かれていないことです。フィンセント・ファン・ゴッホが描かれている著作物の多くはゴッホが中心に描かれていることが多かったからです。ただ、この作品を最後まで読むとなるほどと思いました。
 兄フィンセント・ファン・ゴッホは、人のためばかりに絵を描く天才画家として描かれいます。弟テオドルス・ファン・ゴッホは天才画商。アカデミー保守派でありながら内側から体制を壊そうとする革命児として描かれています。
 テオドルス・ファン・ゴッホはフィンセント・ファン・ゴッホの絵の才能を誰よりも早く理解し広めようとした人物です。そのため、新しい芸術を世に出す者として描く必要があったのではないでしょうか。主人公という視点でテオドルス・ファン・ゴッホを描くことで芸術をどう世に届けるか、奮闘が描けたのではと思っています。

『さよならソルシエ』は実話?史実との違いとは

実在の画家フィンセント・ファン・ゴッホとテオドルス・ファン・ゴッホについて
 弟テオドルス・ファン・ゴッホは、画家になると決意した兄フィンセントを経済的・精神的に支え続けた、穏やかで優しい性格の人物とされています。兄フィンセントの死後も作品を広めるため回顧展の開催に奔走したとされています。
  兄フィンセント・ファン・ゴッホは、幼い頃から癇癪持ちで扱いにくいこと言われていました。1869年ー1876年、オランダ・ハーグの画商グーピル商会の定員として働きます。しかし1876年に解雇されます。その後、宗教活動に従事するも1880年ブリュッセルにて本格的に美術を始めます。数年後の1886年パリに移り住みます。1888年からゴーギャンとの共同生活を始めるも価値観や芸術観が合わず関係が悪化します。わずか2か月でゴーギャンが家を去ってしまいます。ゴーギャンが去った1週間後、耳を剃刃で切り落とす事件が起こります。その後、精神病院へ収監され1890年麦畑で自殺を図り亡くなったとされています。ゴッホは、自ら耳をそぎ落としたり「炎の人」「狂気の天才」などと称されています。情熱的で激しく、人生を絵にささげた人物とされています。よく見聞きする人物像たと思います。

『さよならソルシエ』の画家フィンセント・ファン・ゴッホとテオドルス・ファン・ゴッホ
 その一方で、『さよならソルシエ』の兄弟は次のように描かれています。
弟テオドルス・ファン・ゴッホはアカデミー保守派でありながら、内側から体制を壊そうとする革命児として描かれています。そして、兄の才能に憧れ尊敬を持ちながらも同時に嫉妬も感じてる人物として描かれています。
 兄フィンセント・ファン・ゴッホは、すべてをありのまま受け入れ世界のすべてが美しいと感じられる人物です。それは、怒りの感情が欠如していて、怒りがないから反発がなく偏見も嫉妬もないからだと描かれています。
 実像の兄弟とまるで真逆の兄弟が描かれていると思います。フィンセント・ファン・ゴッホを知らない人も知っている人もこんな解釈ができるのかと驚かれるのではと思います。

『さよならソルシエ』が描く19世紀の芸術とは

 19世紀末、芸術の世界では大きな変革期といわれる時代でした。しかし、パリの画壇は権威と保守に満ちあふれ、美術アカデミーが認めた作品のみが価値ある作品とされていました。そのため、芸術とは、品格ある題材を描くものとされ伝統的な宗教画や肖像画を描かれていました。そして、芸術は上流階級のものとされ、一般庶民には理解できないものとされていました。それが19世紀の芸術でした。
 その一方で、自らの美術観を追求する芸術家たちは新しい芸術を街中の人々に届けようと奮闘します。モンマルトルの「シャノワール」で集まり新しい絵画の在り方を熱心に議論しアカデミー美術に対する不満を共有します。生活の中にある”ありのままの美しさ”を描く、制約も何もないただ感じたものをあるがまま描く、そういうわかりやすいものが百年後の人々の心も掴むことを信じて。
 上流階級向けにアカデミーが認める品格ある題材の作品を描くことを芸術とするもの。自らの美術観でありのままの美しさを描くことを芸術とし新しい芸術を届けようとするもの。双方のみている芸術の違いがよくわかる描かれ方を『さよならすルシエ』はしている作品だと思います。

『さよならソルシエ』舞台・ミュージカル

 2017年に、舞台・ミュージカルになっています。
脚本・演出:西田大輔
音楽:かみむら周平
振付:エムジェイ
主権キャスト:
テオドルス・ファン・ゴッホ役:良知真次
フィンセント・ファン・ゴッホ役:平野良
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック役:土屋シオン
エミール・ベルナール役:小野健斗、輝馬(再演時)   など
音楽は生ピアノのみで演奏され、原作には描かれていないミュージカルオリジナルのキャラクターも登場しています。DVDも発売されています。まだ見ていないので見てみたいと思います。

まとめ

 原作漫画のあらすじや実話?との関係、さらに舞台・ミュージカル化された『さよならソルシエ』について紹介しました。そこから見えてきたのが、『さよならソルシエ』は、史実に忠実な作品ではないこと。異なるキャラ設定と展開で物語が進んでいると思いました。こんな解釈もあるのかと「もしも」を大胆に描いているところがすごいと思えた作品です。つじつま合わせで、最後には大胆な発想が展開するのも驚かされます。ぜひ、読んでみてください。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました