『黄泉のツガイ』の影森家は、物語の序盤から大きな存在感を持つ一族です。
東村と長く対立してきた一族であり、ユルやアサをめぐる争いにも深く関わっています。
ただ、13巻まで読むと、影森家の見え方はかなり変わってきました。
特に大きいのが、当主・影森ゴンゾウの死です。
ゴンゾウは御陵による襲撃で命を落とし、三男のジンもその場から逃れたものの消息が分からなくなりました。
その後、長男ヒカルが御陵と一人で対峙。
黒白と自分の想像力を駆使して御陵を退かせています。公式の13巻紹介でも、この戦いが描かれています。
つまり現在の影森家は、「ゴンゾウが率いる一族」ではありません。
ゴンゾウを失ったあと、それぞれの家族が自分の役割を担い始めている段階です。
この記事では、影森家の家族関係とツガイを相関図で整理しながら、ゴンゾウの死によって何が変わったのかを見ていきます。
※この記事は『黄泉のツガイ』13巻までのネタバレを含みます。
影森家のキャラクター相関図
まずは家族と周辺人物の関係から整理します。
【影森ゴンゾウ】
│
┌────┼────┐
↓ ↓ ↓
【ヒカル】【アスマ】【ジン】
長男 次男 三男
│ │ │
↓ ↓ ↓
【黒白】 【金烏玉兎】【掃除屋】
│
↓
御陵と対峙
│
↓
御陵を退ける
【ジン】
│
↓
御陵と交戦
│
↓
行方不明
【影森家を支える周辺人物】
【ガブちゃん】
│
【黒谷家】
┌────┼────┬────┐
↓ ↓ ↓ ↓
【ナツキ】【フユキ】【ハルオ】【アキオ】
│
│
↓
【西ノ村側へ離反】
│
↓
【小野ミナセ】
という形です。
もともと東村と影森家は対立していましたが、西ノ村に対抗するために協力関係になっています。公式の11巻紹介でも、この「影森東村同盟」が示されています。
影森ゴンゾウは「強い当主」以上の存在だった
影森家を語るなら、やはりゴンゾウを外せません。
ゴンゾウは影森家の当主。
そして多数のツガイと契約できる「百鬼夜行」を持っています。
そのため、ゴンゾウ自身の戦闘力だけでなく、ゴンゾウがいることで影森家全体の戦力が成立していたと考えたほうが分かりやすい人物です。
だから御陵による襲撃でゴンゾウが死亡したことは、一人のキャラクターが退場しただけではありません。
影森家の中心そのものが失われた。
ここが重要です。
ゴンゾウは御陵に殺された
西ノ村の御陵は、影森本家を単独で襲撃します。
そしてゴンゾウとジンを圧倒。
ゴンゾウは命を落とし、ジンもその後消息不明となります。
公式の12巻紹介でも、御陵が手薄になった影森本家へ単身侵攻し、ゴンゾウとジンを圧倒する展開が確認できます。
この事件が、現在の影森家を考えるうえで最大の転換点です。
ゴンゾウが死んだあと、最初に立ち上がったのがヒカル
ゴンゾウを失ったあと、御陵と対峙したのが長男ヒカルです。
13巻では、ヒカルが黒白と自身の想像力を使って御陵と戦い、命からがら追い返しました。
ここで私は、ヒカルの立場が大きく変わったと感じました。
それまでのヒカルは、影森家の長男でありながら、家の仕事から距離を置き、漫画家として生活している人物でした。
ところが、ゴンゾウがいなくなった。
そして、目の前には父親を殺した御陵がいる。
そこでヒカルは逃げませんでした。
「ゴンゾウがいたから戦える」のではなく、「ゴンゾウがいないから自分が戦う」
という状態に変わったわけです。
これは、ゴンゾウの死によって生まれたヒカルの変化としてかなり大きいと思います。
ヒカルは次期当主なのか?
ヒカルは影森家の長男で、次期当主とされています。
ただし、本人は家を継ぐことを積極的に望んでいる人物ではありません。
だから現時点では、「ゴンゾウが死んだ=ヒカルが新当主になった」と考えるのは早いです。
むしろ重要なのは、
ヒカルが当主になるかどうかではなく、ゴンゾウがいなくなった影森家をヒカルが実際に守る側へ回った
という変化です。
13巻の御陵戦は、その変化がはっきり表れた場面だと思います。
アスマは影森家でどんな立場なのか
次男のアスマは、ヒカルとはかなり違う人物です。
穏やかで、人当たりがよく、周囲の人間にも気を配る。
一方で、どこか本心が読みにくい。
そして「金烏玉兎」というツガイを従えています。
アスマ自身が前面に出て戦うというより、情報収集や状況判断に向いているタイプです。
ゴンゾウがいなくなった現在、影森家を考えるときには、
ヒカル=前線で戦う人物
アスマ=状況を見ながら動く人物
という違いも見えてきます。
アスマと東村の関係が変わった
影森家と東村の関係を考えるうえで、アスマは重要です。
東村と影森家はもともと敵対していました。
ところが、西ノ村という共通の敵が現れたことで状況が変化。
10巻では、アスマが東村側に「影森東村同盟」を提案する展開になっています。
つまり、アスマは影森家と東村をつなぐ役割も担っています。
これはゴンゾウが生きていたころの影森家とは違う部分です。
【現在の勢力関係】
【東村】
│
│ 協力
↓
【影森家】
│
│
共通の敵
│
↓
【西ノ村】
ジンはどうなった?
三男のジンは、御陵による影森本家襲撃の際にゴンゾウとともに戦っています。
しかし、御陵には敵わず、ゴンゾウが身を挺してジンを逃がしました。
その後、ジンは消息不明です。
ここは現在も重要なポイントです。
ゴンゾウの死だけでも影森家には大きな打撃なのに、三男ジンまで不在。
つまり影森家は、当主を失い、さらに実務を担っていた三男も欠いている状態です。
だからこそ、ヒカルが御陵と戦った意味が大きくなります。
黒谷四兄弟は影森家の「家族」でもある
影森家を血縁だけで考えると、少し見落としてしまいます。
影森家には黒谷四兄弟もいます。
ナツキ。
フユキ。
ハルオ。
アキオ。
この4人は血のつながった兄弟ではありません。
それでも一緒に育ち、影森家の中で生活しています。
だから影森家は、ゴンゾウと3人の息子だけの家ではありません。
血縁ではない人間も含めた、一つの共同体になっています。
ただし、アキオは西ノ村側へ離反した
その中で大きな問題になったのがアキオです。
アキオは影森家を裏切り、西ノ村側へ離反しました。
しかも、西ノ村の小野ミナセとの関係がありました。
この事実は、影森家の弱点をよく表しています。
外から攻撃されるだけなら、影森家の戦力で対抗できる。
でも、内部に入り込まれていたら話が違う。
実際、9巻では影森家がアキオとヤマノカミからイワンの情報を得ようとする展開が描かれています。
西ノ村は、影森家の外だけではなく内側にも手を伸ばしていたわけです。
ゴンゾウ亡きあと、影森家は弱くなったのか?
単純に「弱くなった」と考えるのも違うと思います。
確かに、
- ゴンゾウが死亡
- ジンが消息不明
- アキオが離反
という大きな損失があります。
でも、その一方でヒカルは御陵を退けるところまで成長しました。
そしてアスマは東村との同盟を進めています。
つまり、
ゴンゾウ一人の力で守る影森家から、それぞれが役割を持って動く影森家へ変わっている
とも考えられます。
私はここが、ゴンゾウの死後の影森家で一番面白いところだと思います。
13巻時点の影森家は「再編の途中」
13巻まで読むと、影森家はまだ完成した新体制になったわけではありません。
ゴンゾウは死亡。
ジンは消息不明。
ヒカルは御陵を退けた。
アスマは東村との協力関係を担う。
つまり、今はちょうど、「ゴンゾウの影森家」から「次の影森家」へ移り変わっている途中なのだと思います。
誰が正式に当主になるのか。
ジンは戻ってくるのか。
アキオとの関係はどうなるのか。
ヒカルとアスマは、それぞれどんな立場を担うのか。
ここはまだ今後を見なければ分かりません。
だからこそ、現時点では「次期当主は○○」と決めつけるより、「ゴンゾウ亡きあと、家族それぞれの役割が変わり始めた」と見るほうが、作中の現在地に近いと思います。
影森家と西ノ村の関係
影森家を大きく変えたのが西ノ村です。
アキオの離反。
御陵による本家襲撃。
ゴンゾウの死亡。
ジンの消息不明。
そしてヒカルと御陵の戦い。
一連の出来事はすべて西ノ村につながっています。
つまり現在の影森家を理解するには、「西ノ村にどう攻撃されたのか」を見ることが欠かせません。
まとめ ゴンゾウの死で、影森家は「一人の当主に頼る一族」ではなくなり始めた
影森家は、もともとゴンゾウを中心とした大きな一族でした。
しかし御陵の襲撃によってゴンゾウを失い、ジンも消息不明に。
さらにアキオの離反によって、内部にも大きな亀裂が生まれました。
一方で、ヒカルは御陵を退けるまでに成長。
アスマは東村との同盟を進め、影森家は新しい形へ動き始めています。
13巻まで読んだ今、影森家は「ゴンゾウの後継者が誰なのか」という段階より、
「ゴンゾウがいなくなったあと、家族それぞれがどんな役割を担っていくのか」
を見る段階に入ったのだと思います。
そして、その変化を決定的にしたのが御陵による襲撃でした。
御陵と西ノ村がなぜ影森家を狙ったのか。
西ノ村が何を目的に動いているのか。
御陵・イワン・小野ミナセ・アキオの関係については、こちらの記事で詳しく整理しています。


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