Xで話題になっていて気になっていた『被害者姫』、ついに読んでみました。正直何も考えずに手を出したのですが・・・想像以上に刺さる内容でした。「被害者であること」は時に人を守り人を縛るその曖昧な部分をテーマに描かれた作品です。読み終えた後、自分自身の言動を少し振り返りたくなるそんな1冊でした。この作品、Xに投稿されると”いいね”が6500以上つきとてもおおきな反響を呼びました。身近にもし「いつも被害者でいる人」がいたらどう感じますか。そして、それが自分自身だったとしたら・・・そう考えるとドキッとする作品です。本記事では『被害者姫~彼女は受動的攻撃をしている~』をあらすじや作者情報などを紹介します。
『被害者姫~彼女は受動的攻撃をしている~』作者情報
『被害者姫~彼女は受動的攻撃をしている~』の作者は水谷緑さんです。神奈川県出身です。
『あたふた研修医やってます。』でメディアファクトリーの第22回コミックエッセイプチ大賞・B賞を受賞しデビューされています。2014年『あたふた研修医やってます。』は書籍化されています。代表作に「まどか研修医やってます」「じたばたナース」「精神科のナースになったわけ」「大切な人が死ぬとき~私の後悔を緩和ケアナースに相談してみた~」ニッポン放送アナウンサー吉田尚記との共著『コミュ障は治らなくても大丈夫』などがあります。小学館『いぬまみれ』にて犬漫画「ワンジェーシー」を連載されています。
好きな食べ物はモチモチした食べ物です。
『被害者姫 彼女は受動的攻撃をしている』発売されています。内容は、
第1話 彼女は受動攻撃をしている
第2話 かわいそうな人でいたい
第3話 パワハラに仕立てる
第4話 被害者だと訴える者は強い
第5話 絶対させない
第6話 セックスレスは受動的攻撃
第7話 味方ができたと思ってた
第8話 会社を辞める選択
第9話 私は「いいこと」をしている
第10話 アヤと両親の関係
第11話 「受動的攻撃」とは?
第12話 親の責任からも逃げる
第13話 離婚
第14話 娘はどちらについていく?
第15話 逃げの代償
最終話 被害者姫
となっています。
『被害者姫~彼女は受動的攻撃をしている~』あらすじ
表面上はいつもニコニコしているいわゆる「いい人」のアヤ。彼女は決して誰かを強く責めたり、攻撃的な言動をとったりすることはありません。しかし、不思議と彼女の周りでは気づくと相手が悪者のような立場に追い込まれています。「自分が悪かったのかもしれない」と漢字、次第に疲弊していくのです。その原因をはっきり言葉にすることができません。なぜなら、気に入らない人には無言の圧力や被害者アピールで相手を追い詰め自分をかわいそうな人に仕立てあげる「被害者姫」があくまでも「被害者」として振舞っているからです。
本作は「受動的攻撃」をとてもリアルに描いているところが特徴です。日常になるような些細なやり取りの中で生まれる関係が壊れていく過程が丁寧に描かれています。実話がベースのコミックエッセイです。
『被害者姫~彼女は受動的攻撃をしている~』受動的攻撃とは
『被害者姫~彼女は受動的攻撃をしている~』は水谷緑さんがXに投稿し話題となったエッセイ漫画です。この作品が生まれた背景をインタビューで語られています。『こころのナース夜野さん』という精神科ナースの漫画を描くときに暴力の専門家の先生に暴力を振るう側と被害者側の間でなんらかの相互の関係があるのではと思われ、質問されたそうです。その時”受動的攻撃”という概念があることを知り関心を持ったと。”受動的攻撃”という言葉を初めてこのエッセイ漫画を通して知りました。英語ではパッシブ・アグレッシブ(passive aggressive)と言います。具体的には本人が感じている「怒り」「不平不満」などに代表される否定的な感情を相手にぶつけず、消極的かつ否定的な態度・行動を取ることで、相手を攻撃しようとする心理が受動的攻撃性です。受動的攻撃行動は意識して取られる行動と無意識に取られる行動があります。代表的なものは黙り、相手を無視する攻撃である「緘黙や無視」、仕事を意図的に遅らせたり、怠けたりして攻撃をする「サボタージュ」などがあります。私もこの作品を読んで「自分も当てはまるところがある」や「こんな人周りにいる」と感じました。そして、これが”攻撃”になることを初めて知りました。私も気づかぬうちに攻撃していたことに驚きを隠せません。
『被害者姫~彼女は受動的攻撃をしている~』主人公アヤのリアルさ
『被害者姫~彼女は受動的攻撃をしている~』の主人公アヤの受動的攻撃は絶妙です。怒りを直接的に表現せず無言・無視・溜息・わざと返事を遅らせるなどして遠回しに相手に罪悪感を刺激したり、体調不良で怒りを表現し被害者の位置に自分を置き相手を加害者に仕立て上げます。それに至るまでの主人公の努力と我慢がすごいです。そんなに我慢するぐらいならとつい思ってしまいます。仕事では、上司の意見には口答えしない、意見は当たり障りのないことしか言わないが不満はため息などでアピールする。上司が悪者になるような雰囲気を作り出し周りを巻き込みながら一人を加害者に仕立て上げる。読みながら感じるのは私の周りにもこんな人いるなということです。その場では気づかないがこうして漫画という形で改めてみると同じだと思い少し怖くなります。妊活を始める上司のサポートをすることで慣れない仕事にキャパオーバーになり過労で倒れる。だけど人の助けを借りず「大丈夫です」で乗り切る注意されてもされた点んを改善しない、無駄に残業をする、自分は疲れていますという姿を同僚の前でだし続ける。自分が一番かわいそうであるポジションを絶対に譲らない徹底ぶりには感服します。受動的攻撃をうまく使いこなしている人も世の中に入ると思いますが主人公のアヤほどうまく使いこなせている人がいるだろうかと思います。作者が自主人公アヤは受動的攻撃の達人で最強の被害者姫だということに思わず共感してしまいました。一方でこの受動的攻撃をする人の中には心のSOSだったりする人もいるのかもしれません。
『被害者姫~彼女は受動的攻撃をしている~』読んで思うこと
「モラハラ」「パワハラ」は被害者がそう感じたら加害者になると但し書きはありますがよくで耳にします。『被害者姫~彼女は受動的攻撃をしている~』を読むとこれに対して、本当にそうなのだろうか、受ける側にも何かあるのではないかと疑問が生まれます。人の人生において生きてきた環境や人間関係によってその人の在り方や考え方は大きく異なります。こういう生き方しかできなかったのかと思うと何とも言えない気持ちになります。特にこの『被害者姫~彼女は受動的攻撃をしている~』は毒親が原因と結論づけています。過去のトラウマや親子関係が原因で受動的攻撃を身につて攻撃してしまう。心理的な歪みからくるものだと思いますがその結果、周囲との関係を自ら壊すことになっているとても怖いものです。
最後に
重すぎず、でも確実に心に引っかかるそんな作品です。『被害者姫』は読者に問いを投げかけているのかもしれません。人は誰しも無意識に被害者になる瞬間があると。誰かとの関係や立ち位置について少しだけ考えたくなる作品です。そして、そんな自分の一面にそっと気づかせてくれる作品でした。気になった方は、ぜひ手に取ってみてください。

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