たまに胸を抉るようなバッドエンドな「救いのない話」や、心に深い傷を残す展開が特徴の「後味の悪い鬱漫画」や「トラウマ漫画」を手に取りたくなることがある。人からは「やめときな」と言われる作品を1つ紹介しようと思う。それが『ブラッドハーレーの馬車』である。鬱漫画・トラウマ漫画ランキングなるものの中でよく目にする漫画である。あらすじや基本情報などを簡単に紹介する。
『ブラッドハーレーの馬車』のあらすじ
沙村広明による作品。孤児院で暮らす少女たちの夢は「ブラッドハーレー聖公女歌劇団のスターになること」。なぜなら、劇団の構成員はすべて資産家・ブラッドハーレー家の養女だからだ。養女になることで劇団に入団できるのだ。毎年各地の孤児院から眉目秀麗な少女たちが選ばれ馬車に乗せられる。期待に胸を膨らませた孤児院の少女たちがたどり着いた先は、暗い暗い塀の中。恐ろしく壮絶な悪夢が始まる・・・。
『ブラッドハーレーの馬車』作者紹介
著者の沙村広明さんは千葉県出身の漫画家。1993年『月刊アフタヌーン』にてデビュー。異色時代劇『無限の住人』が代表作である。1997年には第1回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞されている。また。英語版が2002年にアイズナー賞(正式名称ウィル・アイズナー漫画業界賞)最優秀国際作品部門を受賞している。この賞は、アメリカで最も権威のある漫画賞の一つ「漫画のアカデミー賞」と呼ばれている。『無限の住人』は「無限の住人IMMORTAL」アニメ化され、木村拓哉さん主演で映画化されている。他の作品に『おひっこし』『ハルシオン・ランチ』『波よ聞いてくれ』などがある。テーマとしては暴力・倫理・死・生をテーマに扱っていることが多いように思う。『無限の住人』と『ブラッドハーレーの馬車』を並べてみてもわかるが、とてもジャンルの幅が広い作家さんである。
『ブラッドハーレーの馬車』感想や評価
この作品、とにかく読む人を選ぶ作品である。感想を見ると「絵が綺麗で、繊細さが悲劇をより強調している」「後味きつい」「読者のメンタルを深くえぐる」などがある。評価としては「救いがない」「画力・演出力の高さ」に対する評価が多い。一方で「ただ不幸話として描かれている」「テーマやメッセージ性が薄い」といった評価もある作品である。華やかな養女の夢と裏側の絶望との対比がとてもえぐい作品だと思う。評価が分かれるのも納得である。気持ちのいい作品ではないことは双方の評価を見て感じとれる。ただ、この作品本当に絵が美しいと思う。この画力の高さからなのか悲劇的な場面の描写が何倍もの効果を表しているように感じる。
『ブラッドハーレーの馬車』まとめ
『ブラッドハーレーの馬車』のあらすじ等を簡単に紹介した。鬱漫画・トラウマ漫画が平気な人以外は読むことをお勧めしない。精神衛生上その方がいいと思う。問題ないという人は読んでみてほしい漫画だ。補足だが、この作品は、全8話から構成されている。囚人視点のストーリー、刑務官視点のストーリ、最後にはブラッドハーレー家視点のストーリーも展開している。しかし複数の視点でストーリーが進むが結末は一緒で報われない。

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