九条の大罪 正義か,悪魔か?法のバグと衝撃の感想レビューなど

最近ネットは書店でよく目にする『九条の大罪』。「面白そうだけど難しいそう」「なんか内容が暗そう」「どんな話なのだろうか」という方は多いのではないでしょうか。ざっくり言えば「倫理観」を根底から壊さる、法とモラルの極限を描いた作品です。初めて読む方でもわかりやすくあらすじ、登場人物などの基本情報から実際に読んだ感想などをわかりやすくまとめました。この記事を読めば、作品の見どころがわかりるはずです。

『九条の大罪』基本情報

『九条の大罪』は現代社会の法とモラルの極限を描いた作品です。お金になる案件だけでなく「必要とされる」依頼など一律33万円で半グレやヤクザ、金持ち貧乏人など差別せずに依頼を引き受け違法一歩前のやり方で守る弁護士九条間人の物語です。作者は『闇金ウシジマくん』の真鍋昌平先生です。小学館「ビッグコミックスピリッツ」にて2020年から連載されています。単行本も発売されています。累計発行部数がなんと2026年時点で430万部突破している話題の作品です。2022年「全国書店員が選んだおすすむコミック2022」では第10位を獲得しています。『九条の大罪』は5年にもおよぶ取材を重ねて作られています。綿密な取材がこの作品をノンフィクションのようなストーリにしています。作品はフィクションです。この作品はTBS制作のNetflixシリーズとして映像化されました。『花束みたいな恋をした』『罪の声』などを手掛けた土井裕泰監督や山本剛義、足立博が監督を務め映像化されています。弁護士九条間人を演じるのは柳楽優弥さんです。

『九条の大罪』とは

きれいごとでは解決できない現実を、違法すれすれの手段や倫理ギリギリの交渉をもって依頼人を守る弁護士の話です。『九条の大罪』は実際に起こりそうな事件をテーマにされています。若者の貧困や高齢化社会の闇、普通の人間を搾取し消費していく人などニュースで目にする社会問題が描かれています。自分の身であったり隣の人の身にいつでも起こりうることです。『九条の大罪』は現実と地続きなのです。『九条の大罪』は「知らないことが罪」「知らないことで損をする」ということを痛いくらい思い知らされます。視点が冷静に問題を見ているため突きつけられる事実はとても刺さります。

『九条の大罪』あらすじ

『九条の大罪』は”正義ではなく結果で守る”異端の弁護士を描いた作品です。主人公・九条間人は、普通の弁護士が敬遠するような闇の案件ばかりを扱います。依頼人の利益を第一に動くため悪徳弁護士とも世間から呼ばれています。半グレ、ヤクザ、金持ちや貧乏人など普通の弁護士が引き受けない案件を引き受けるため、ときには倫理を超えた手段すら用いて依頼人を守ります。その裏では、社会の歪みや人間関係の欲望がありありと描き出されています。詐欺師や反社会勢力、弱者を摂取する者たちの実態が次第と明らかになっていきます。読むほどに「法律とは何か」「正義とは何か」を考えさせられます。「勝つこと」と「正しいこと」は同じなのかそんな疑問が突きつけられる作品です。

『九条の大罪』登場人物

九条間人(くじょう・たいざ)
本名は鞍馬間人。九条は元妻の姓です。法と道徳を切り離して考える人ミステリアスな人物です。どんな加害者・犯罪者からも依頼を受けるため悪徳弁護士と世間から呼ばれています。そこに潜む九条の正義が何かとても気になります。死亡した依頼人の飼っていたブラックサンダーを引き取り愛犬としています。
烏丸真司(からすま・しんじ)
東大卒の若く優秀なエリート弁護士です。居候弁護士(イソ弁)として九条の法律事務所で働いています。
薬師前仁美(やくしまえ・ひとみ)
ソーシャルワーカー「つぼみ」の代表。
壬生憲剛(みぶ・けんご)
表向きは自動車整備工場の社長。裏の顔は反グレのリーダーです。ガールズバーなど飲み屋を多く経営する会長です。博識で頭脳明晰、度量も広く、節度と礼儀もわきまえた人物です。部下の起こす事件の法的処理を九条に依頼するクライアントでもある。
山城祐蔵(やましろ・ゆうぞう)
九条の独立前の事務所の弁護士。利益重視。
流木信輝(ながれぎ・のぶてる)
九条の師匠。人権派弁護士。
嵐山義信(あらしやま・よしのぶ)
警視庁組織犯罪対策第5課の刑事。
鞍馬蔵人(くらま・くろうど)
東京地検検事。九条の兄。
京極清志(きょうごく・きよし)
伏見組若頭。
市田智子(いちだ・ともこ)
毎朝新聞社会部の新聞記者。元週刊誌の記者。

『九条の大罪』感想レビュー

読み終えるとしばらく動悸が止まりませんでした。真鍋先生が描く『九条の大罪』を未読の方はもちろんすでに読んでいる方も「あそこはリアルだった・・・」と共感していただけるところがたくさんあります。『九条の大罪』は今まで見たことのある弁護士漫画とは全然違います。5年にもおよぶ綿密な取材から作られる作品はリアリズムと社会の欠陥が描かれているからです。心を掴まれたあるいは打ちのめされたものを紹介します。
1つ目は、「法」と「道徳」は別物であることを痛感させられたというものです。法律というルールの範囲内で九条は凶悪な加害者の減刑や無罪を勝ち取ります。法は必ずしも正義を執行するとは限らないことを思い知らされます。
2つ目は、ウシジマくんよりも恐怖を身近に感じるというものです。前作の『闇金ウシジマくん』は裏社会の暴力に焦点が当てられている作品です。『九条の大罪』は違います。SNS上で誤った情報やデマが拡散され個人や関係者が写真や名前を拡散されネットの誹謗中傷の対象になるなど裏社会などとは縁がない普通の人が巻き込まれるそんな一歩間違えば九条の依頼者(加害者)にも被害者にもなりえることをリアルに描かれています。過去ニュースになった木村花さんの事件のように実際人の命が失われる可能性のある社会問的な問題が描かれているため現実もを帯び身近に感じられます。
3つ目は、社会の底辺であえぐ人々の解像度がすごく高いというものです。前作の『闇金ウシジマくん』では金に困り後がない債務者たちが簡単に借金をすることで坂道を転げ落ちるように転落していく姿が描かれています。『九条の大罪』でも知的障がいを持つもの、貧困から抜け出せないものが悪意ある人間に利用され使い捨てられる描写がとてもリアルです。そのリアルさが際立つのが作者の画力によるものです。
4つ目は、読後に重さが残る作品だということです。物語を読み進めると気分がずんと沈む場面も少なくありません。特に加害者が九条の手により「法の抜け穴」を通り、軽い刑で済んでしまう一方で遺族の悲しみや憤りは行き場を失うこの時の納得のいかなさは読後にモヤモヤが残ります。「きれいごとでは解決できない」という現実を強く突きつけられます。
5つ目は、登場人物が一癖も二癖もある人間ばかりで面白いというものです。主人公の九条がその筆頭ではないでしょうか。なぜか、それは圧倒的な不気味さと魅力を兼ね備えた人物だからです。
6つ目は、読者に強い問題提起をしている作品だということです。なぜか、法律のグレーゾーンや弱者ビジネスなど現代社会に深く切り込んだ内容になっているからです。そのため、現実と地続きに感じられフィクションなのにノンフィクションに感じられるところが、多くの読者をひきつけています。

さいごに

『九条の大罪』は常に「正義とは何か」を考えさせられます。弁護士といえば法廷で発言している姿や弱者を守るそんなイメージがあります。『九条の大罪』では弁護士たちの葛藤や依頼人たちの葛藤が細かく描かれています。「なぜ?」と誰もが疑問に思ったり「これは矛盾しているのでは?」という明確な解決策や白黒がつかないあやふやな答え、すっきりとした正解が出せないそんな問題を精緻に描いています。こんな初歩的な内容や見解を登場人物たちは互いにぶつけ合う姿は人間味があります。だからこそ小さな希望を見いだせるのです。この弁護士に依頼すれば必ず助かると。単なるエンターテイメントと超えた現代に読んでほしい作品と言えるかもしれません。
気になる方は、ぜひ読んでみてください。

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